養老天命反転地:インスタで再発見されたテーマパーク
養老町にある「養老天命反転地」という謎のネーミングの場所に行ってみました。観光ガイドブック類にも載っていて、SNSでも話題になっている人気スポットのようです。
ここは養老鉄道の養老駅から徒歩10分のところにある養老公園の一角にある公営の施設で、養老公園の奥(歩いて30分くらい)には有名な「養老の滝」があります。
アートな空間
行く前は、なんとなく子供のための遊び場なのかと思っていたのですが、行ってみると全然違っていました。「心のテーマパーク」と謳っているとおり、むしろ大人のための、心と体のテーマパークなのでした。
1995年(平成7年)に作られたやや古い施設なので、コンクリートの建築物が老朽化していたり(あまり掃除もされていない...)色褪せていたり、パッと見た感じはB級感にあふれています。
なんだかよくわからないまま施設内に足を踏み入れ、いろいろ歩き回っているうちに、「なんなんだ、これは?」感が膨れ上がってきます。
アート性が高すぎて意味が理解できないのです。
入場時に渡されたパンフレットをよく読むと、養老天命反転地は「実験的なアートプロジェクト」であると書かれています。そこでようやく理解できました。
天命反転地という名前を含めてすべてが現代アートなのです。
それぞれの建築物に「白昼の混乱地帯」とか「陥入膜の径」とか、あやしい名前が付いています。
極め付きは「もののあわれ変容器」!
いろいろと考えさせられる名前です。
体も鍛えられる空間
地面にはさまざまな起伏があって、急な斜面も多く、「水平垂直を極力排除し」「人間のもつ平衡感覚や遠近感に揺さぶりをかける」ように作られています。どこを歩いていいのかもわからない場所がたくさんあり(あえて不親切に作られている)、危険な箇所もいくつかあります。奥が見えない真っ暗な空間があったり、深い穴があったり。
非常に<逆バリアフリー>な構造なので、ケガには気をつけるようにという看板もあり、ヘルメットや運動靴の貸出もあります。
つまり、謎の建物の意味を考えることで頭も鍛えられ、斜面によって肉体も鍛えられるようになっているわけです。暑い日だったせいもありますが、歩き回っているとかなり汗をかきました。
はっきり言って、「孫を連れたお年寄り」には向いていません。
「宿命の家」の内部
アートな建築物で、いろいろな家具が壁によって切り取られています。
微妙に作りが雑なのと、掃除されていない汚れ方が気になりますが...
インスタ映えスポット
スマホはもちろんデジカメというものすら存在しなかった平成7年時点では想像もしなかったはずですが、インスタ用の写真を撮るのに絶好の場所がいくつもあり、今では若者たちに人気のスポットとなっています。
ペンキが色褪せているところもありますが、フィルタで加工すればばっちり美しく見えるのでお金をかけて修復する必要なし(笑)
インスタで「#養老天命反転地」というタグを検索すると、若者たちがさまざまなポーズで楽しんでいる様子がわかります。
まとめ
田舎町(失礼)にある古くてB級な雰囲気の施設なので、たぶん一時期は来場者が少なくて存続の危機に瀕していたのではと想像するのですが、インスタというSNSの流行によって若者たちに再発見され、非常に現代的な人気スポットになっているのが興味深い場所でした。
そして私は今でも「もののあわれ変容器」の意味を考え続けているのでした。